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全く新しい抗がん剤の投入方法が開発される。副作用を軽減しながら、治療効果を最大化1/1

ヒトのリンパ節と同じ大きさである特殊なマウスを用いて、新しいガン化学療法を模索する共同研究がおこなわれました。 結果、従来の画像診断法では検出できないリンパ節(微小転移)の治療や予防を可能にする「新しい抗がん剤投与法」が提案されています。研究をおこなったのは東北大学 大学院 医工学らのチームです。

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癌、について

がんは日本人の二人に一人が罹患する病気です。

乳がんや頭頸部がんをはじめとする「上皮系由来がん」の多くは、リンパ管を介し、所属リンパ節に転移します。

最初に転移をきたすリンパ節を「センチネルリンパ節」と呼びます。

転移リンパ節の治療には, リンパ節郭清術や放射線治療のほか、静脈に抗がん剤を注射する全身化学療法が一般的です。

が、抗がん剤のような小さな分子は、腫瘍周囲の間質にある「毛細管」によって、容易に再吸収されてしまうため、全身化学療法では必ずしも十分な成果を上げることができるとは言い切れません。

リンパ節の診断法や治療法の開発が遅々として、進まない理由のひとつ

リンパ節転移を具現化する疾患モデルマウス開発の遅れがあります。

小玉教授らの研究グループは、ヒトのリンパ節と同等の大きさを有する特殊マウスの育成に成功、リンパ節転移モデルマウスがリンパ節転移の早期診断法や治療法の開発に有効であることを実証してきました。

研究概要

本手法では、リンパ節に直接抗がん剤等を注入します。

それにより、注入箇所であるリンパ節だけでなく、このリンパ節のリンパネットワーク下流に位置するリンパ節も治療対象にすることができます。

抗がん剤1滴ほどの量で、転移の初期段階にあるひとつのリンパ節を治療することができると見込まれます。

この投与量は静脈注射による全身化学療法の投与量に比べ、著しく少ない量です。

この治療法では、手術では切除が困難なリンパ節郭清域外のリンパ節も治療できることになります。

よって、高齢や他の疾患が理由で、これまでリンパ節郭清術の適応が困難であった患者。
抗がん剤の副作用や、リンパ節転移に悩む多くのがん患者を救済できる画期的な治療法になるものと期待されます。

本研究は, このマウスを用いた実験において、リンパネットワークの上流に位置するリンパ節に蛍光色素を直接注射することで、下流に位置するリンパ節に選択的に蛍光色素が集積されることを明らかにしました。

この実験事実から、転移初期段階にあるリンパ節(あるいはこのリンパ節の上流に位置するリンパ節)を「抗がん剤の刺入点」とすることで、転移リンパ節ならびに、このリンパ節の下流に位置するリンパ節を治療、あるいは予防的治療の対象にすることができるという結論に至りました。

研究成果は, 2016 年 9 月 1 日(イギリス時間午前 10 時)Scientific Reports 誌(電子版)に掲載される予定です。

本研究成果

New concept for the prevention and treatment of metastatic lymph nodes using chemotherapy administered via the lymphatic network : Scientific Reports

written by 坊ちゃん

出典