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がん治療に革命を起こす「BNCT治療」1/1

がん治療を変える、として注目が集まっているBNCT治療をご存知でしょうか。「BNCTってなに?」「聞いたことない」という人のために今回は、「BNCT治療とは一体なんなのか?」ということを誰にでも分かるような形で掲載していきます。


BNCT(ホウ素 中性子捕捉療法)とは


  • BBoron(ボロン)ホウ素
  • NNeutron(ニュートロン)中性子
  • CCapture(キャプチャー)捕捉
  • TTherapy(セラピー)療法

がんBNCT治療を一言で簡単に記載すると、「一回の治療で正常細胞を傷つけることなく、がん細胞のみを破壊できる照射治療」です。

まずは、どのようにしてがん細胞のみを攻撃していくのか?
そのメカニズムを見ていきましょう。


ホウ素 中性子捕捉療法


これは、

ホウ素に中性子を照射すると、細胞一つ分程度の距離しか飛ばない放射線が発生する

という、ホウ素と中性子間で起こる化学反応を利用した療法です。

つまり、がん細胞が取り込んだ「ホウ素」に対して、中性子を照射、発生させた放射線の力で癌細胞のみを細胞レベルで破壊してしまうということです。

これをホウ素 中性子捕捉療法(BNCT)と呼びます。


BNCTの治療順序


  • ① 癌細胞のみに取り込まれる「専用のホウ素薬剤」をカラダに注入する
  • ② ホウ素薬剤が癌細胞に取り込まれたことを確認後、「中性子」を照射する
  • ③ 癌細胞に取り込まれたホウ素と中性子が反応し、「放射線」が発生。癌細胞のみを破壊する

要約すると、癌細胞に起動治療型のエサを与えておき、後にスイッチを入れてやることで、正常細胞へ影響を与えることなく癌細胞のみを攻撃する。ということですね。

この技術であれば 正常細胞まで一緒に照射してしまう放射線治療やヨウ素線治療とは違い、「正常細胞群に紛れている散らばった癌細胞のみをターゲットにした攻撃が可能」です。

これは転移している癌細胞、いわいる「再発癌対策」にも有効です。


正常細胞にほとんど影響を及ぼさないのが、BNCT治療の特色


高額なお金を支払って複数回やらなければならないのにも関わらず、単独治療ではなかなか効果が見込みづらい「免疫細胞療法」とは違い、一回の治療で効果が見込める、というのが非常に嬉しいところです。


BNCT治療は現在、どのような癌種に対しての効果が確認されているのか?


治療効果の検証は最初、悪性脳腫瘍に対しておこなわれました。

次に悪性黒色腫(メラノーマ)に対しての効果検証がおこなわれ、どちらも素晴らしい治療成績を収めています。

現在では頭頸部癌や、効果的な治療方法の少なく「難治」だとされる悪性胸膜中皮腫や、多発性肝臓がんに対する研究が進んでいて、治療効果が確認されてきています。

ホウ素化合物さえ取り込まれれば理論上、どの癌種においても効果は期待できます。


現在、臨床研究が活発におこなわれている


こうしたBNCTの臨床研究が現在、筑波大学を中心に進められています。
近い将来には治療センターがオープンされる予定です。

日本でこのBNCT治療が成功すれば、世界に向けて大きな医療サービスを提供することに繋がります。

安心して癌になれる。

癌になってもまた元気に社会復帰することが当たり前になる社会になれば、と思っています。

筑波大学医学医療系生命医科学域大学院 人間総合科学研究科
 准教授 熊田博明氏

次世代の癌治療、BNCT治療の今後に注目です。

written by 執事