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「BRCA変異があると乳ガンになるの間違い」アンジェリーナ・ジョリーさんは乳房を切除する必要はなかった。真のマーカーはtMK1/1

国内でも話題となったアンジェリーナ・ジョリーさんの乳ガンを予防するための胸の切除。もしかしたら国内でも乳ガンを予防するため、切除をお考えの方もいらっしゃるのかも知れないが、少し待っていただきたい。乳房の切除を行う前に、日本分子腫瘍マーカーの工藤憲雄さんにお伺いしたこの知見をご覧になっていただきたい。

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ー アンジェリーナ・ジョリーさんは予防的乳房切除の必要がなかったとお伺いしました。その真意をお聞かせください。


ー 工藤さん

tMK(※)が未発現だった場合、たとえBRCA変異があっても 乳ガンの発生が世界各国で皆無だからです。

1998~2013年3月31日までにおこなった抗tMK抗体(特許)による tMKの検出検査の結果、
遺伝性(BRCA1,2変異)および、非遺伝性ともに、tMK未発現の場合には乳ガンの発生が皆無だった知見が得られています。

癌胎児増殖因子「truncated MidKine(tMK)

文部科学省の独立行政法人 科学技術振興機構より、論文が評価され、研究資金が提供されている。
「産学官連携プロジェクト」で、その検査(tMK検出抗体,tMK遺伝子多型変異(G/T塩基置換変異)・tMK特異的モノクローナル抗体)に対する特許を2件取得。

tMKは現在、12種類の転移上皮ガンにおいて発現が認められている現状唯一のガン転移遺伝子である。


【tMKの発現が認められている12種類の転移上皮ガン】

胃ガン・食道ガン・結腸ガン・直腸ガン・十二指腸ガン・膵ガン・肝細胞ガン・肺ガン・乳ガン・腎細胞ガン・前立腺ガン・子宮頸ガン・悪性胸膜中皮腫・腎芽細胞種

tMKはレチノイン酸誘発性分子(動物の体作りに重要な分子)の初期段階における胎児性ガン細胞から発現・誘導されるヘパリン結合性増殖因子(※2)のMK(MidKine)に一塩基置換による点突然変異が引き起こされた結果、生成されています。

ヘパリン結合性増殖因子(※2)

創傷治癒,動脈硬化および癌増殖など多くの生理的,病理的過程に関与している成長因子

MKは胎児の他に多くのガン組織で、周辺の非ガン組織よりも発現が増大していますが、tMKは胎児とガンだけに発現し、非ガン組織に発現していません。

tMKの際立った特徴は「基底膜の分解」と「分解部位での造血管作用」です。

リンパ節転移部からtMKが頻繁に検出されています。tMKの発現とリンパ節転移が相関しているわけです。(Histol Histopathol(2003)18:129-134, Cancer Letters207(2004)89-93

tMK発現の乳ガン全てが、遠隔転移(転移性乳ガン)している

tMKの発現有無で、
all(全浸潤ガン)-or-nothing(全非浸潤ガン)が確定しています。

BRCA変異だけでの予防的乳房切除の臨床試験など、言語道断。
tMK未発現の場合には乳ガンの発生が世界各国で皆無となっているのだから、「言わずもがな」です。

にもかかわらず、有名女優アンジュエリーナ・ジョリーさん投稿の「私の医学的選択」に、「待ってました!」とばかり、遺伝性乳ガン・卵巣ガンの予防と早期発見・治療などと便乗する輩が出てきました。醜い、恥を知っていただきたい。

乳ガンや卵巣ガンの家族歴のある日本女性は「遺伝子カウンセリングを受けてみませんか?」などの誘惑には絶対のせられてはいけません。

MK&tMKおよび、BRCA近辺領域の染色体転座

  • 「MK&tMK(11p11,2),BRCA1(17q21),BRCA2(13q12-13)」
  • (inv11p11,2:11p15),(inv11p15:11q22),(11q23:17q21),(15q22:17q21),

※ 11q23領域はガン抑制遺伝子の宝庫といわれている

tMKを高確率で発現させる「SNPs(遺伝子変異のひとつ)」

tMKは一代限りのSNPsから、修復されないタンパク質として産生されています。

体内で生じる炎症などの内的要因。外から発ガン性物質を取り込むなどの外的侵襲要因を受けた場合、tMKを高発現するSNPsを発生しています。

このtMKを高頻度に発現するSNPs(一塩基多型)については、tMKの発見時にのみ論文発表しましたが、それ以来一度も発表していません。特許申請に関わるためでした。

今後もっとも重要なことは、tMKが「転移癌 特異的 分子標的」になるということです。

次回、まだまだ続きます