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B型肝炎ウイルス感染者が絶対に見過ごしてはならない知見とは1/1

多くのB型肝炎ウイルス感染者が知らないであろう知見があります。それも特許知見であったtMKが握っていました。この記事では未だ多くの人が知らないB型肝炎ウイルスにおける最新知見について、日本分子腫瘍マーカー研究会 工藤憲雄さんにお伺いしていきます。

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- メリパ

B型肝炎ウイルス感染者が絶対に見過ごしてはならない知見があるとお伺いしました。
詳細をお聞かせください。


- 工藤さん

B型肝炎ウイルス感染者が見過ごしてはならない知見が、2つあります。

  • 1)B型慢性肝炎にはMK(※1)の発現陽性率が100%になっていること。
  • 2) B型慢性肝炎・肝硬変から発生する肝細胞癌にはtMK(※1)の発現陽性率が100%になっていること。

です。


※1 MKとtMKの呼称について

  • 1)MK(MidKine):線維化増殖因子、ヘパリン結合性成長因子。
    損傷部位の修復を図る
  • 2)tMK(truncated MidKine):癌特異的増殖因子、転移腫瘍マーカー。
    単体で組織のガン化、転移に関わるガン転移遺伝子。
    健康な人には発現しない。ガンが転移する絶対条件である基底膜の分解を担う。

MKとtMKは、胎児肝臓に発現しているヘパリン結合性成長因子(※1)です。

ヘパリン結合性成長因子(※1)

創傷治癒,動脈硬化および癌増殖など多くの生理的,病理的過程に関与している成長因子

MK、そしてtMKの知見を十分に知らないがために、

ウイルス肝炎研究財団と日本医師会(感染症危機管理対策室)は「最終的に肝硬変・肝癌へと至る例を鑑別する方法はない」と、表明しています。

肝炎ウイルス(B/C)感染による肝炎・肝硬変を起こしているのはMKです。
肝炎・肝硬変から肝細胞癌を起こしているのはtMKです。

① 肝硬変へ、MKの作用機序

肝炎ウイルス(B/C)に感染

感染損傷部位にMKが発現

MKが損傷部位を修復しようと炎症を起こす(肝線維化)

末期に肝硬変になる


胃の粘膜も常に何らかの刺激(食べ物、ピロリ菌etc)で、常に傷害を受け慢性的な炎症をきたしていますが、原因がなんであれ炎症を起こしているのはMKです。
肺癌、大腸癌、膵臓癌、食道癌、等における炎症発生も、すべてMKの発現によるものです。

これはイレッサによる間質性肺炎(肺線維症)と同じメカニズムです。

イレッサ投与で障害された部位にMKが発現し、線維化が起こっています。間質性肺炎などはMK発現の典型的なものです。

MKが発現した場合にのみ、B型慢性肝炎が発症している


B型肝炎ウイルスに感染

MKが発現した場合、炎症性細胞(好中球・マクロファージ)が感染部位に炎症を起こす。

MKの発現で炎症が持続することによって、B型慢性肝炎が発症


慢性肝炎を発症させたMKは、線維芽細胞の増殖を促進します。

さらにMKはコラーゲン線維(Ⅳ型コラーゲン)が結合する基底膜の構成分子ラミニンを分解。
コラーゲン線維(Ⅳ型コラーゲン)を蓄積して、慢性肝炎から肝硬変にします。


【肝硬変への発生機構】

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B型肝炎ウイルスのマーカーである HBs抗原が陽性および陰性の場合、MKは発現しません。
あと、肝炎ウイルスが生体と反応していない「無症候性キャリアー(※2)」にもMKは発現していません。

MKが発現しなければ 炎症性疾患もなく、線維化もなく、肝硬変も起こりません。

無症候性キャリアー(※2)

病原体による感染が起こっていながら、明瞭な症状が顕れないまま、他の宿主(ヒトや動物など)にその感染症を伝染させる可能性のある宿主のこと。

MKの作用機序はここまで、肝細胞癌の発症には関わっていません。

② 肝臓ガンへ、tMKの作用機序

肝炎ウイルス(B/C)感染部位に発現したMKが肝硬変を起こしている過程(①)において、tMKを産出するⅠ塩基置換変異(一代限りのSNPs)が起こり、肝臓ガンへと進行します。


【tMKの発生機構】

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エキソンスキッピング(※3)

人の遺伝子には、エキソンと呼ばれる箱があって、それをイントロンと呼ばれる塩基配列がつないでいる。


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(イメージ図:箱(車両)を塩基配列(紐)で繋げた電車のようなもの)


撮影した映像を編集して繋げるように、この配列にスキッピング(編集)が起きることを「エキソンスキッピング」と言う

MK発現にtMK発現が連鎖した場合にのみ、肝細胞癌が発症

MKの発現で発生する「炎症性細胞」によって攻撃された肝細胞には、死滅と再生が繰り返されます。

  • エキソンスキッピングの結果、tMKが発現した場合にのみ 肝細胞癌を発症します。

このような1塩基置換変異(tMK産出)は、肝硬変のみならず慢性肝炎にも起こります。

抗tMK検出抗体の検出試験の結果、肝炎ウイルス感染者(B/C)が発症している肝細胞癌におけるtMKの発現陽性率は100%になっています。
原発性肝細胞癌の「肝外転移」と「他臓器からの転移」いずれにおいても、tMKの発現陽性率は100%です。

  • ※ 1998年~2016年までのtMK発現陽性率のデーターによる
  • ※ 1塩基置換変異の発生機構は「第27回日本分子腫瘍マーカー研究会・学会」にて発表済み

抗tMK検出抗体を使用すれば、最終的に肝細胞癌へと至る例を鑑別できます。
よって、B型肝炎ウイルス感染者はMK/tMKの定期的検査が必須です。

  • MKの検出方法)MK遺伝子プロモーター領域の多型変異の遺伝子型の予測方法
  • tMKの検出方法)tMKタンパク質特異的モノクローナル抗体(検出抗体&抑制抗体)

tMK検出抗体にのみ、2件の特許が取得されています。
多くの研究員の研究開発に寄与するため、2017年2月特許権を破棄します。

次回、まだまだ続きます