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「若年性アルツハイマーの母と生きる」岩佐まりさん・インタビュー(音声が流れます)1/1

岩佐まりさんは、アナウンサー事務所:オールウェーブ・アソシエツ所属のフリーアナウンサーです。現在、メディアで司会業をやりながら母の介護をしています。昨年には、岩佐まりさんが母の介護をしながら綴ってきた自身のブログ「アルツハイマーの母と生きる」が書籍となりました。meripaは今回、少し突っ込んだところをお伺いしてみました。

岩佐まりさんの介護生活、はじまりは 2003 年に遡ります。

当時母 55 歳、岩佐さん 20 歳。
2005年には発症していた物忘れは日増しに激しくなり始め、母は同じものを買ってしまったり、料理の手順、家電の使い方を忘れるようになります。

気づけば、母は小さな手帳を持ち歩くようになりました。
忘れることの数に比例し、手帳は次第に文字で真っ黒になっていきました。

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そんな母が、MCI(アルツハイマー型経度認知障碍)と診断されたのは2006年の頃

岩佐さんは母の受け入れ体制をつくるために、女優の夢を捨て、アナウンサーの仕事と本気で向き合い始めました。

ワイドショー・ドキュメンタリー番組「サンデージャポン」にて2014年 11月23日、岩佐まりさんの介護生活に密着したドキュメンタリー映像が放送されています。
公開された映像では、1分前のことも覚えていられない母と共に、24時間体制で介護をおこなう 岩佐さんのリアルな私生活が記録されていました。

そして2015年6月、介護生活を綴ってきた岩佐まりさんのブログ『アルツハイマーの母と生きる』が、待望の書籍化となります。

meripaでは今回、岩佐まりさんの胸中をお伺いしました。

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−今回、書籍を出そうと思ったきっかけを教えてください(meripa ※以下 m)

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まさか私が本を出版するなんて夢にも思っていませんでしたが、たまたま出版社の方からお声かけいただいたのがきっかけで…

この機会に母のアルツハイマーが現れた頃から、現在までを書き綴ることで、アルツハイマーの初期症状を多くの方に知ってもらい、 早期発見に繋げてほしいと思いました。

単純に認知症というと「ボケた人」のイメージが強いと思うけれど、認知症になっても 娘への愛を忘れず、人に笑顔を見せ、楽しく生きようとする母の姿を多くの人に伝えたいと思いました。

母の介護をおこない始めて、最初にあった気づきと戸惑いで印象に残っていることを教えてください(m)

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魚を焼くグリルの中に昨夜焼かれなかった魚が入ったまま腐敗していて、その異臭によって見つけた父が母に怒鳴っている姿は見ていられませんでした。

母が悪いわけではないし、失敗をしないように家族がサポートしなければいけない最初の時期に怒ってばかりいた父の姿はもどかしかったです。

ゲームなどの「進行を遅らせることができる」といわれている方法を試してきた中で、これは少しでも効果があるな、と感じはなんですか?(m)

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母の好きなことを思う存分させてあげることです。

母は昔から歌が好きで、カラオケに行ってマイクを持つと表情が明るくなるし、自宅で音楽を流すと喜びます。

進行が遅れたかどうかは、比べるものがなく、正直わかりませんが、好きな歌があるおかげで毎日の生活の中でも楽しめる時間が増えています。

「父の提案で犬を飼う」という場面がありましたが、やはり動物の存在はプラスとなっていたのでしょうか?(m)

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プラスになったと思います。母にとって愛おしいものができ、とてもかわいがっておりました。

「ココ」という名前のチワワですが、離れて暮らしている今でも、熊のぬいぐるみに「ココ」という名前をつけて抱きしめています。

「大阪で過ごす最後の夜」として書かれていた、お父さんが晩餐時、涙を流すところが個人的に凄く印象深かったのですが、お父さんは元気に過ごされているのでしょうか?(m)

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父も体が悪く、ヘルパーさんに週2回入ってもらい食事や買い物を手伝ってもらっています。

友達・近所づきあいが苦手な父なので、一人で寂しい想いをしているのではと心配になりますが、電話をかけるとすぐ喧嘩になり、うまくいかないのが現状です。

岩佐さんにとって、本書で登場するSちゃん、Mちゃん、Dちゃん。そして、ブログというコンテンツはどういった存在なのでしょうか?(m)

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私の介護生活を支えてくれている人たちです。

認知症介護は精神力勝負でもある と私は思うのですが、その精神力を支えてくれるのはお友達の存在、そして顔は見えないけれど私を励ましてくれるブログ読者のみなさまです。

介護の苦しみや楽しさを共感してくれる人の存在がなくては、私の介護生活は成り立たなかったと思います。

一番切なかった(大変だった)こと、うれしかったことをお聞かせください(m)

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母が徘徊をして数時間見つからなかったときは、 「母がもう元気に戻ってこないのではないか」と自分を責めました。

これ以上ない、罪悪感と地獄のどん底に落とされたような気分でした。

逆に嬉しかったことは、徘徊をした時に友達や、デイサービスのスタッフさんたちが総勢で数時間、必死に母を探してくれたことです。

逆に教えられたことや、幸せを感じる瞬間をお聞かせください(m)

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デイサービスへお迎えに行くたびに、私の顔を見るやいなや、「まりが迎えに来てくれた!」と満面の笑みで喜んでくれるのが私の小さな幸せです。

一瞬たりとも目が離せないほど、母の病気は進行してしまいましたが、今でも家族全員のことを思いつづける母に情の深さを感じます。

これからシング ル介護をおこなっていく方に向けて、伝えたいことがあればお聞かせください(m)

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介護は一人ではできません。シングル介護をおこなう人こそ、多くの助けが必要になります。

デイサービス・ヘルパー・相談相手・近所づきあい・顔見知り。

一人で介護するのではなく、助けてもらうことの方が多い介護ですから 感謝を忘れず、これまで以上に人を大切にしてほしいと思います。


「アルツハイマーの母と生きる」筆者も購入し、読ませていただきました。

症状の発症から、今に至るまでが綴られているだけでなく、親身になってサポートしてくれた人たちのこと。岩佐まりさんにとってのブログという存在から、恋愛のことまで。

大好きな母との生活をとり巻いてきたすべてが赤裸々に記載されています。まさにこの一書は「岩佐まりさんそのもの」と呼べるのではないでしょうか。

発症当時22歳で、自身の夢を叶えようとただひたすらに がむしゃらだった岩佐まりさん。

55歳という若さで 突如アルツハイマーを発症してしまった母。
不器用ながらも必死で母と共に歩もうとした父。
そしてかけがえのない友の姿…

それぞれの立場から見え隠れする「決意」と「戸惑い」が、読み手を自然と引き込んでくれる内容となっています。書籍を読み終え、岩佐まりさんのブログを見て 筆者は思いました。ああ、お母さんを愛しているのだなぁ、と。

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−現在。

母との介護生活は大変なことも多いですが、近くで見守っていられることで幸せな日々です。

母も柔らかな表情になり、時々自分の世界に入って不穏になることはありますが、私を笑わせてくれます。

「大好きな母。私の隣でいつも笑っていてください」

岩佐まり

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