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アルツハイマー型認知症の症状を回復できる可能性が、実験モデルで明らかにされる1/1

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は、記憶などの脳の認知機能の異常を主症状とする疾患です。この疾患においては、脳内に異常タンパク質であるAβが蓄積し、その影響によって神経細胞に様々な異常が現れると考えられています。 重要なものとしては、タウタンパク質と呼ばれる細胞骨格を形作るタンパク質の異常、シナプスの構造・機能の異常などがあげられます。

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アルツハイマー型認知症の発症に大きく関わる「アミロイドベータタンパク質(Aβ)」の集合体(Aβオリゴマー ※1)によって引き起こされる「タウ異常」を含む、神経細胞の異常な変化がAβオリゴマーを除去することによって回復しうることが、実験モデル系を用いて初めて明らかにされました。

Aβオリゴマー ※1

Aβが2~30個程度集合した凝集体で、神経細胞に対して毒性を持つことが知られている。アルツハイマー病の病態を引き起こす病原的因子と考えられている。

【研究結果】

今回、研究グループが、アルツハイマー型認知症の病態をよく反映している神経細胞モデルを用いて、Aβオリゴマーによる神経細胞障害の可逆性について研究をおこなった結果、次のことが明らかになりました。

Aβオリゴマーによって引き起こされるタウ異常を含めた神経細胞の様々な異常変化は、Aβオリゴマーが除去されれば回復可能であることを初めて実証しました。

アルツハイマー病の初期には、病原的因子Aβオリゴマー(Aβ-O)によってタウ異常、カスパーゼ活性化、シナプス異常などが引き起こされる。


病態が進行すると、老人斑、神経原線維変化、シナプス減少、神経細胞脱落などの病理変化が現れる。


早期にAβ-Oの蓄積を抑制することにより、病態が回復する可能性がある。

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本研究成果は、アルツハイマー型認知症の治療及び予防の観点から、きわめて重要な知見といえます。

発表国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)神経研究所(所長 武田伸一)疾病研究第六部 室長 荒木 亘らの研究グループ

掲載国際科学雑誌「Molecular Brain」にオンラインで、中央ヨーロッパ時間(CET)2017年1月31日に掲載されました。

アルツハイマー型認知症の病態の回復可能性が実験モデルで明らかに