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意外と知らない人体に必要不可欠な遺伝子のこと。希少難病の発症原因にもなりうる1/1

人が体を動かす時、『AADC』という酵素の遺伝子が働いて、神経伝達物質を作っているのはご存知でしょうか?

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例えば、足を動かそう!と思った時には…

AADCが働いて神経伝達物質を作る

伝達物質が作用して足が動く

という働きが、体内で起こっているわけです。

  • つまり、AADC遺伝子なくして我々は文字を打つ、歩く、手を動かすなどの行動を取ることは叶わないのです。

AADC欠損症とは、生まれつきAADC遺伝子を持たない病気です。

AADC遺伝子がないことで手足の不自由だけでなく、口から食事をすることもできないので、チューブで栄養を補給する胃瘻(いろう)生活を余儀なくされるなど、多くの障害が発生します。

AADC欠損症

小児神経難病の一つである芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症は、国内では6人が診断されている先天性の病気(2015年時点)。

 

症状には全身硬直などの発作、首が据わらないままの寝たきりなどがある。世界的に見ても数少ないこの病気は、症状の特徴から脳性麻痺と診断されている可能性もあるといわれている。

遺伝子治療が有効なAADC欠損症

遺伝子の問題はやはり、同じく遺伝子。
AADC欠損症に対しては、内服治療もありますが大きな効果がないため、遺伝子治療がその対替として着目されています。

どのような内容の遺伝子治療か?というと。簡単に言えば、脳に直接AADC遺伝子を注入する治療法です。

脳の「被殻(ひかく)」と呼ばれる部位に管を通し、直接AADCベクターと呼ばれる遺伝子を注入します。
成功すると脳にAADCの遺伝子が根付き、神経伝達機能が改善するという風です。

この治療によって、実際に手や足が動くようになった例も確認されています。

これまでベクターによる治療は副作用が大きな課題となっていましたが、技術の開発により副作用のおそれが減少してきたことから、AADC欠損症に遺伝子治療を施す試みが始まりました。


  • 患者への手術例

2015年。
日本国内の病院でAADC欠損症の当時15歳と12歳の兄妹の患者に遺伝子治療が行われました。
治療の結果、寝返りがうてるようになる・手を伸ばしてつかむことができるようになるなどこれまで患者には見られなかった改善が見えるまでに回復しています。


こうした遺伝子治療より得られる成果は、AADC欠損症だけではなく他の病気の遺伝子治療の発展に希望と可能性をもたらしています。