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遺伝子検査しても生活習慣改善には繋がらない?1/1

今、日本の複数の企業が実施しているいわゆる「遺伝子検査」ですが、これを受けて、糖尿病、皮膚ガン、肺ガン、心臓病のリスクが高い遺伝子傾向(リスク)にあることを指摘されたのであれば、人はおそらく、日々の行いを改めるのではないか?と思われますが…

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持って産まれた遺伝子情報を変えるのはなかなか難しいことですが、生活習慣は替えることができるのではないかと思います。

しかし、ケンブリッジ大学の行動健康学のTheresa Marteau教授らの『the BMJ(3/15)』掲載の報告によりますと、遺伝的に疾患リスクのある人が、健康上の行動を改める傾向は認められなかったようです。

《研究内容》

◯ それぞれ異なる18の研究結果から得られた6,100人以上の30歳~56歳の成人の遺伝子データを調査しました。

◯ 研究の対象者には、個別にDNA検査を受けてもらい、生活習慣を変えることによってリスクを下げられる可能性のある疾病リスクを伝えられていたグループと、伝えられていないグループ、両グループを比較しました。

遺伝子検査の結果が、人を禁煙や、運動をもっとするなどの行動に繋げられるのかどうかという点で興味深い結果が得られました。

  • 肺ガンの遺伝子的なリスクあり」と判定された喫煙者は、そう判定されなかった喫煙者と比べて、禁煙に意欲的ではありませんでした。
  • 糖尿病リスクあり」と判定された中年の男女が特段、定期的なエクササイズなどを開始することもありませんでした。

本結果を、Marteau教授は「別に驚く事でもない」と振り返ります。

教授によりますと、他の研究結果でも、こうした疾患リスクを表す検査結果を伝えたとしても、運動不足や喫煙、食生活などを改善する行動に繋げる人は少ないことがわかっているそうです。

今後10年の間に糖尿病を発症するリスクがあるという「長期的な視野」でのリスクを指摘されても、それは人に自分の生活習慣を変えさせる動機にはなり得ないからではないか、と教授は述べています。

長期的な視野で、疾患リスクを伝えられることは、控えめであるため、非常に弱い介入力しか持ちません。

Marteau教授

また、変えなければならないとされている習慣が、例えば「コーヒーを飲むときにはクッキーを食べる」などの日常生活で決まりきった行動(ルーチン)や、常習的な行動であった場合。
コーヒーやクッキーはあまりにも安く、簡単に手に入るということも原因のひとつではないかとのこと。

いわゆる個人別に処方された「オーダーメイド医療」や、遺伝子検査サービスを提供する企業は、長期的視野での検査結果を伝えることで、検査を受けた人が生活習慣の改善に繫げることができるという点が、メリットのひとつであると考えています。

ですが、少なくとも今回の調査結果は、糖尿病や心臓病、あらゆるガンなどのリスクを遺伝子検査を利用して知らしめることは、生活習慣改善に有効であることを示唆するものではなかったようです。

しかし、遺伝子検査事態が意味を持たないというわけではないとMarteau教授。

生活習慣は変えないかもしれないが、現時点である疾病リスクが高いことが分かれば、手術や投薬などの治療を受けることができるし、健康診断などを頻繁に行ってリスク低減を図ることも可能である。
また、禁煙プログラムや「ウェイトウォッチャー」のような減量プログラムといった、生活習慣改善プログラムの開発にも役立つだろうとのことです。

Marteau教授は、「自分たちが遺伝子検査を受けても、生活習慣を変える可能性は低いかもしれない」という科学的事実を、検査を受ける人は理解し、注意してほしいと述べています。


《参照》