お酒と痛風の発症リスクを調べる為チームは、体内でアルコールを分解する酵素「ALDH2」に着目して研究を進めました。
「ALDH2」酵素を作る遺伝子に変異がある場合…分解酵素がうまく働かず、酒に弱いとされている
- 研究では、日本人男性の痛風患者1048人と、痛風ではない1334人で遺伝子変異の有無を調べています。
結果、遺伝子に変異のない人は変異のある人より、痛風を2.27倍発症しやすいことが分かりました。飲酒が通風を発症する危険性を高めることを改めて裏付ける結果となっています。
日本人の約4割は、この遺伝子に変異があり、お酒に弱いタイプだそうです。
痛風は生活習慣病だが、遺伝子の関連も強い。
遺伝子を調べてリスクが高い人が分かれば、個人差に応じた予防や治療につながる。
こう話したのは、防衛医大の松尾洋幸講師。これからの遺伝子解析の期待が高まります。
痛風についてちょっと知っておきましょう。
痛風は風邪が吹くように痛みがあちこちで発生する、お金持ちがかかりやすい、なんて言われている生活習慣病です。
この病にかかる人は年々増え続け、現在では100万人近い人が痛風だそうです。
痛風の代表症状は、突然襲ってくる「痛み」です。
現在、30歳以上の男性の約3割が、痛風予備軍だと言われています(厚生労働省)
痛風は今や、誰しもがかかる可能性のある身近な生活習慣病なのです。
まずは、痛風のメカニズムを簡単にご紹介します。
体内で細胞が新陳代謝をすることで、「尿酸」が生じます。
尿酸は 毎日尿から体内に排泄されていますが、この尿酸が作られすぎたり、また排泄がうまくいかない時があります。
そうした、血液中に尿酸が増え過ぎた状態が、尿酸が溢れ出てしまっている状態、それを「高尿酸血症」と言います。
高尿酸血症の状態から、だんだんと悪化したのが痛風です。
痛風の前段階である高尿酸血症には2種類ある
一つ目が「排泄低下型」と呼ばれる、腎臓からの尿酸排泄が少ないタイプです。
もう一つが「産生過剰型」と呼ばれる、体内で非常に多くの尿酸が作られてしまうタイプです。
痛風の前段階である高尿酸血症にはこの2種類があります。
痛風が起こるメカニズム
「痛風」というのは関節炎の一種です。
溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節に溜まる
↓
できた結晶を外に出そうと、カラダが反応する
↓
しびれるような、耐えがたい痛みが伴うようになる
痛みは突然起こるものではなく、最初にムズムズするという違和感があります。
その後、ムズムズが痛みに変わるという形です。
痛みを感じてから大体 24 時間くらいで最高に達します。
原因:
遺伝体質、高エネルギー食の摂りすぎ、アルコールの飲み過ぎ、肥満・ストレス。圧倒的に男性に多く、足の親指に生じるケースがとくに多い。
ちなみに痛風の原因となる尿酸が急激に上がるシチュエーションは2つあります。
- プリン体を多く含む食べ物を食べた時
- アルコールを飲んだ後
痛風が気になる方は果糖を避け、ビール(500ml)を飲むとしても一杯までに留めておきましょう。
尿酸は、細胞のプリン体が分解してできるので、痛風の際はプリン体の摂りすぎに注意が必要です。ウォーキングなどの運動も意識していきましょう。
痛みは数日で収まることが多いですが、痛みはまたぶり返します。大切なのは「高尿酸血症」をしっかりと治療することです。
また、「高脂血症」との合併症も怖いです。
高脂血症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が異常に多い状態のことです。
長く続くと動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中を誘発します。
痛風を防ぐには、やはりベースとなる食事・運動と日常の健康的な生活を送ることです。
お酒に飲まれて、気がついたら痛風に…なんてことにならないように。