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特定の感染症に対する最後の手段、「糞便移植」が命を救う1/1

『他の人の便を移植することで、その人の腸内フローラ(腸内の細菌群)をごっそり入れ替えてしまおう!』という、ダイナミックな移植方法が人の命を救う。水面下で話題になってきています。

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便移植
健康な人の便を病気の人に移植する治療法。腸内に棲んでいる細菌群を変えてしまうことが目的。
研究が進められていて、潰瘍性大腸炎や過敏性超症候群、うつ病、自閉症、メタボ、多発性硬化症、クローン病などに対する治療効果を立証する予備的証拠が集まってきている。


便移植の流れ
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便移植の狙いは、腸内フローラを変えること

人の腸には重さ1キロ、100種100兆個もの細菌がぎっしり詰まっている状態です。
その腸内の細菌群は一見するとお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれています。

ちなみに、腸内フローラには大きく分けて、善玉菌、悪玉菌、日和見菌と3種類の細菌が住んでいます。

腸内フローラ・細菌比率

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これは、健康な人の腸内フローラのバランスです。

体力、免疫が低下している時は善玉菌が減少し、悪玉菌が増加します。
日和見菌は「善」「悪」関係なく、強い方の味方をします。

そのため、悪玉菌が強くなればこれを味方し、毒素を排出するようになります。

病気の人の腸内フローラは…乱れている

うつ病の人と、健康な人の腸内フローラの最近比率を調べた結果、「うつ病の人の腸内にはビフィズス菌が1/3ほどしか住んでいなかった」という報告があります。

闘病中の方の腸内フローラは乱れているわけです。便移植はここに着目し、腸内フローラから病気の治療を試みる方法です。

健康な人の便を移植することで、乱れている腸内フローラを変えてしまうわけですね。

ただ、「便移植」と聞くと、多くの人はこう思うのではないでしょうか?

「他の人の便を移植するのは抵抗がある」

むしろ、抵抗がない人の方が少ないでしょう。衛生的にどうなのか?と思う人も多いでしょうが、便移植にはもちろん、いろいろな取り決めがあります。


【便移植の取り決め】

  • 20歳以上の健康な人の便であること
  • 感染症や寄生虫が認められない便であること
  • 患者が認めた方であること

便を移植するにおいて、何より大切なのが「フレッシュさ」です。
人の便には 1 g約 100 億個の細菌が住んでいます。

便移植ではそれを移植するわけですが、細菌は空気に触れると変化してしまうので、長期に冷凍保存した菌ではうまく移植できないのです。

便がフレッシュか否かで、便移植の成功率は変わると言っても過言ではありません。

ただいま便移植について絶賛研究中であるという、Bordenstein博士(PLOS生物学)はこう述べています。

便移植が、クロストリジウム-ディフィシル感染症の95%を治癒できたという文献もある。うんちが命を救うのは間違いないだろう。これは冗談ではない。

Bordenstein

written by 執事

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