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タスマニアデビルから出る「母乳」は、抗生物質が効かないスーパーバグに有効1/1

袋を持っている動物の母乳には、MRSAを含む伝染病を殺すことができる重要なペプチド(アミノ酸とたんぱく質の中間の性質を持つ成分)が含まれている、シドニー大学チームが発表しました。

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科学者は現在、このペプチドを手本とした新しい治療法を作るために奮闘しています。

彼らはタスマニアデビルの遺伝子コードをスキャンし、「カテリシジン」と呼ばれる感染病と闘う化合物を発見しました。
博士号の学生エマ・ピールはネイチャー誌の中で、「それらが6つの重要なペプチドを持っていた」とコメントしています。

カテリシジンから発見された6つのペプチド

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これらのペプチドは他の、袋を持っている動物の母乳と類似点があるとのことです。
それは類似点のある動物の母乳を研究する価値があるということを意味する、と彼女は言います。

ワラビーはこういったペプチドを8つ持っています。
また、コモリネズミは12つ持っています。

私は今、コアラの母乳を研究しているところです。

Cathelicidins in the Tasmanian devil (Sarcophilus harrisii) : Scientific Reports

これらの動物は、比較的汚れた環境下で育児を成功させなければならないため、母乳にこのような抗菌特性をもっている可能性がある、と研究者は指摘し、こういった研究を進めることは非常に有益なことだ、とコメントしています。

シドニーの研究チームは、発見した6種類のペプチドを元に25種類のバクテリアに対する試験を行いました。

合成ペプチドの一つ「Saha-CATH5」は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、またはMRSAを死滅させるのにとくに有効な結果を残しています。

また、薬剤耐性をもっていて、カンジダと呼ばれる皮膚感染症に関与している「バンコマイシン耐性腸球菌」を殺す働きも確認されており、専門家は薬剤耐性のある感染症と戦うため、至急新薬が必要であると述べています。

ちなみに、今年8月にはタスマニアデビルのDNAには、癌を克服するヒントが隠されていると話題になっています。

これはタスマニアデビル同士が争う時、伝染性のある癌を相手に送り合うことから、遺伝子がこれに耐えるために進化したものだと考えられています。

タスマニアデビル研究の今後に注目が集まります。

Rapid evolutionary response to a transmissible cancer in Tasmanian devils : Nature Communications

written by 執事