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漢方薬を考えよう!(第4回)「西洋薬」と「漢方薬」の違い1/1

前回、漢方薬と生薬の違いを勉強しましたが、ならば、漢方薬と西洋薬はどう違うのでしょうか? これこそ、何となく分かっているようで分かっていない部分が多そうです。

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よく言われるのが、

・西洋薬は即効性が強く、漢方薬は即効性が弱い!
・西洋薬は部分的に効くが、漢方薬は全身に効く!
・西洋薬は化学物質使用なのに対し、漢方薬は自然成分を使用している!

などと言ったところでしょうか。

確かにこれらは、それぞれの特徴をピンポイント的には捉えています。
いわば、西洋薬的見解であると言えるでしょう。

けれど、両者の性質や違いは この限りではなさそうです。


西洋薬とは?


ちなみに、「西洋薬」という呼称は、
それこそこういう話をする際、漢方薬の対義語として用いられるもので、正式な名詞ではありません。

その証拠に、漢方薬は国語辞典にも載っていますが、
西洋薬はなく、一般的に「薬」と言えば西洋薬のことである。と思って頂ければいいでしょう。

そして、その基本理論はと言うと、

・便秘になれば、腸の動きを活発にする薬を飲めばいい!
・下痢になれば、腸の動きを抑圧する薬を飲めばいい! 

というものです。
実に分かりやすいですね。

ところが、便秘薬を飲んで腸の動きが活発になると下痢を引き起こします。

すると、今度は下痢止めを飲んで腸の動きを抑圧するという流れで、
下手をすれば堂々巡りになりかねない可能性があるわけです。


異病同治と同病異治


それに対し、漢方薬では腸内環境を整えることで 下痢も便秘も治る! 

という考え方をします。

ようするに、下痢も便秘も、その原因は腸内環境の悪さにあるのだ。というものなので、
全く相反する症状なのにも拘わらず、同じ漢方薬を処方したりします。

このような考え方を漢方医学では「異病同治(いびょうどうち)」と呼びます。

  • ところが、たかが下痢、されど下痢!

一口に下痢と言っても、
水分が蓄積し、冷えたために引き起こされている場合もあれば、
神経過敏で腸の動きが激しくなって引き起こされる場合もあります。

同じ下痢を訴える患者さんに対して、全く異なる漢方薬が処方することも珍しくありません。

これを「同病異治(どうびょういち)」と言います。

このように、同じ病気でも違う薬を処方し、
根本的な原因を取り除こうというのが漢方薬の考え方な訳ですが、
これを強力な化学物質を用いた西洋薬で実践するのは、実に危険だと言えるでしょう。

何しろ、便秘に効く薬は間違いなく下痢を引き起こすのですから、
元々下痢を訴える人が飲んだら事態を悪化させてしまいます。

勿論、逆でも同様で、便秘の人と下痢の人が同じ薬を飲むことは出来ません。


漢方薬の取り柄


ならば、下痢止めと便秘薬を1つのカプセルや錠剤に詰め込めばいいのではないか?という気がしますが、それはさらに危険な行為だと言えるでしょう。

実際、以前にもご紹介したように、薬の飲み合わせによるトラブルは多々あります。

強烈な西洋薬を複数服用するだけでも危ないのですから、
1つの薬として飲むなどというのは恐ろしい事なのです。

しかし、漢方薬に使用する生薬は、
いずれも天然物質から薬効成分を抽出したもので、人工的に作った強烈な化学物質は一切混入しません。

そのため、数種類の生薬を組み合わせる事が可能で、
むしろ、それによって効果効能を発揮するのが漢方薬の最大の取り柄です。

腸の動きを活発にする生薬と抑圧する生薬を組み合わせることにより、ほどよく腸を動かせるように働き掛けられます。

さらに、薬理作用を倍増させるものと減衰させるものを組み合わせれば、
互いのエネルギーの指向性を引き出すことができ、様々な病態に対応できるという訳です。

事実、その典型的例となる組み合わせの大半は、紀元前から期限後に移行する2000年ほど前に中国で確立されていて、それが当時の漢王朝の名を冠下「漢方薬」です。

そして、それらを後生に伝えるべく記録しておいてくれたのが以前ご紹介した「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」と言った医学書だという訳なのです。

という事で、冒頭に出てきた

・西洋薬は部分的に効くが、漢方薬は全身に効く!
・西洋薬は化学物質使用なのに対し、漢方薬は自然成分を使用している!

という見解は的を得ていると言えるでしょう。

しかし、即効性の有無については、
必ずしも西洋薬だからあって、漢方薬だからないとは言い切れません。

西洋薬の中にも即効性に欠けるものは少なくなく、漢方薬の中にも、即効性を持つものは多々あります。

そこで、次回はその辺りを見てみたいと思います。

written by M.YAMAMOTO

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