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抗生物質が効かない薬剤耐性菌、予防や対策方法は… その②1/1

前回、抗生物質が効かない薬剤耐性菌(多剤耐性菌)が生み出されるメカニズムやイラク、シリアでの状況を掲載しました。 第二回目となる今回では、国内における薬剤耐性菌の状況から掲載していきます。

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日本国内における薬剤耐性菌の現状

まずは欧州および、日本における抗生薬使用量の国際比較をご覧ください。

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国内においては セファロスポリンおよび、他のβラクタム系薬、マクロライド、リンコサマイド、ストレプトグラミンが多く使用されていることが分かります。

これらの抗生薬は主に副作用が弱いので、頻繁に用いられることが多いようです。

続いて、薬剤耐性傾向にある微生物の耐性率の国際比較を見ていきましょう。

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どの細菌の耐性率においても、日本は比較的高い水準にあることが見て取れます。

細菌は、最適な原子種を選択して分子スイッチを自ら変異させることで、自身の生命を維持しながら、巧妙に薬剤耐性を獲得しているわけです。

「このままいけば薬剤耐性による2050年の死者数は1000万人以上になる」と試算し、発表したイギリス政府の同チームは実はこうもコメントしていました。

最悪の場合、深刻な事態を招く恐れがある

と。

同チームが言うところの深刻な事態とは、「命に関わる危険性のある感染症が広がる可能性が高いので、今行われている治療ができなくなるのではないか?」ということです。


【感染症が広がる可能性が高いとみられている治療】

  • 通常の外科手術
  • 帝王切開
  • 臓器移植
  • 免疫療法 など

このまま薬剤耐性菌が広がり、最悪の状態になればこれらの治療をやることが難しくなります。

もちろんこれは予測でしかないので、実際にはそうそう迎えない事態だとは思いますが、
確かに、何かしらの対策をとっていかなければいけない段階に来ています。

こうした状況から厚生労働省は、薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016−2020)を立てました。


広がる薬剤耐性菌、予防や対策方法は…

薬剤耐性菌問題は政府ではなく、我々の問題。

ということで、任せっきりではよろしくないので、今からでもそれぞれの対策をとっていかなければなりません。

抗生物質が効かない薬剤耐性菌(多剤耐性菌)に対して、
我々が取れる対策は 免疫力(腸管免疫)を高く保つことです。

免疫力を高く保っていれば、病原体に感染するリスクを最小限に抑えることができます。

つまり、

最初から抗生物質のお世話にならずに済むカラダづくりを意識していくこと

我々ができる薬剤耐性菌に対する活路は残念ながら、これしかありません。

そのために習慣的に取り入れるべきなのは、プロバイオティクスという考え方です。

プロバイオティクス

「乳酸菌(善玉菌)を食品から摂取することで、腸管免疫を高め、病気の発生を予防する」という考え方。
カラダに一番効果が早く現れることから乳酸菌がよく用いられている。


他に、腸内にある善玉菌のエサ(食物繊維,オリゴ糖)などを摂取することで、腸内細菌の活性化を狙う「プレバオティクス」


外から善玉菌を摂取する「プロバイオティクス」と、内の善玉菌を活性化させる「プレバオティクス」を組み合わせた「シンバイオティクス」という考え方もある。

アンチバイオティクス抗生物質は微生物の生育を阻止、または死滅させる)という考え方がある一方で、乳酸菌ラクトバチルスおよび、
ビフィドバクテリウムなどの生きた微生物は、抗生物質の使用による下痢、呼吸器感染症のような特定の感染症リスクを低減することも観察されています。

プロバイオティクスなどの腸管免疫を高めるアプローチを取り入れれば、
抗生物質による下痢の重症度や、必要な抗生物質の量を減らすことが期待できるかも知れません。

どのくらいの効果が得られるかは現在、更なる調査が進められています。

Probiotic approach to prevent antibiotic resistance. – PubMed – NCBI

written by 執事