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漢方薬を知ろう(その9)漢方薬の最もオーソドックスな副作用は「間質性肺炎」1/1

前回、漢方薬の服用による副作用として、肝機能への影響が懸念されるという話をしました。しかし、実際には、漢方薬のみを飲み過ぎて肝臓を傷める人はそれほど多くはありません。やはり、他の西洋薬やサプリメントとの併用、そして、それによる薬物の過剰摂取で肝臓障害を発症する人が圧倒的多数です。 むしろ、漢方薬のみによる最もオーソドックスな心配は、「間質性肺炎(かんしつせいはいえん)」だと言えるでしょう。ならば、その間質性肺炎とは、どのような病気なのでしょうか?

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「間質性肺炎」とは?

ここでまず、肺の構造と働きを簡単におさらいしてみましょう。

そもそも肺という臓器は、空気を吸い込む、所謂息をするものだと思われがちですが、実際にはそうではありません。
血液中の酸素と二酸化炭素を常に新鮮なものに入れ替えるのが仕事で、そのために外気を取り込んでいるのです。

そこで、空気を取り込む「肺胞(はいほう)」と呼ばれる部位と、縦隔を走る肺動脈・肺静脈は毛細血管によって巧みに絡み合い、肺胞内の空気と血管内の血液との間でガス交換が行われています。この肺胞の壁や肺胞を取り囲んで支えている組織が、問題の「間質」です。

  • 従って、その間質に炎症を来たすのが「間質性肺炎」。

これは組織が徐々に繊維化し、機能を果たせなくなってしまう病気です。

ただし、肺炎と言っても、通常の肺炎のように、ウイルス感染によって炎症を引き起こすものではありません。
ならば、その要因は何か?と聞かれれば、明確に特定することが実に困難なのです。

どんなに検査をしても、最終的には原因不明だと診断されるケースもしばしばです。そこで、そうした原因不明の特発性間質性肺炎は、国の特定疾患にも指定されています。

間質性肺炎の症状

ではでは、間質性肺炎を発症するとどうなるのでしょうか?

まず、ここで正しく理解しておいて頂きたいのは、直ちに生死に関わるのは稀だということですが、肺の内部が堅くなれば、それだけ柔軟性に乏しくなるので、十分空気を吸うことが難しくなってしまいます。

結果、いつ呼吸困難に陥っても不思議ではない状況もやがてはやって来る確率が高いわけです。

事実、歌手の美空ひばりさんの死因にもなりましたし、鴻池祥肇(こうのいけよしただ)代議士が官房長官を辞任した理由もこの疾患による入院でした。

多くの間質性肺炎は、その進行速度が遅く、中々自覚症状が現れないのが特徴です。
ある程度進んで初めて、息切れなどが出始めます。

そして、重度になると、頻繁に呼吸困難に陥るようになる訳ですが、そこまで達するまでに数年掛かる人も大勢いるのです。
そのため、発覚が遅れ、治療困難になりがちです。

というのも、息切れについても、最初の頃は、激しい運動をした時に出る程度で、これは健康な人でも普通にある現象だからです。
さらに、坂道や階段の上り下りで見られるようになっても、年齢的な体力の衰えと勘違いされる方が圧倒的多数なのです。

けれど、加齢による体力の衰えとの最大の違いは、痰の絡まない空咳が出るようになるということです。
そしてもう一つ、手足の指先が丸みを帯びてくるという外見的特徴が現れます。

これはまるで太鼓のバチのような形状になるところから、「バチ指」と呼ばれる症状ですが、何故そうなるのかという理由は未だに明確にはなっていません。

しかし、息切れが増えると同時に、空咳が出るようになり、指先が変形してくれば、明らかに間質性肺炎を疑うことが出来ます。

即、呼吸器科を受診をお勧めします。

漢方服用による間質性肝炎の発症リスク

本当に漢方薬を服用して間質性肺炎を発症するケースはあるのでしょうか?

残念ながら、市販薬としても非常にポピュラーな漢方「小柴胡湯(しょうさいことう)」の服用による発症は、すでに日本でも多数発覚しており、死者まで出ているところから、薬剤性として原因が明らかにされています。

が、小柴胡湯を飲んだからと言って、誰もが発症する訳ではないことも明確にされています。

元々この小柴胡湯という漢方は、胃腸虚弱による食欲不振や風邪の治療に用いると効果的だとされ、市販薬としても人気を集めていました。
それが昨今、慢性肝炎の治療薬としても効果を発揮することが明らかになり、医療現場でも用いられるようになりました。

実は、この慢性肝炎の治療における投与が、最も間質性肺炎を発症しやすいのです。ただ、用法と用量さえ守っていれば、その恐れは殆どないと見られています。

さらに、慢性肝炎の治療においても、専門医の診断と指導をきちんと受け、正しく服用すれば問題はありません。

最も怖いのは、周囲の噂話に踊らされ、安易に市販薬に手を出すことです。
そして、異変に気付いても、中々医療機関を受診しないと、重篤な自体を招くわけです。という事で、次回は、その間質性肺炎の検査と治療を見てみましょう。

written by M.YAMAMOTO