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漢方薬を知ろう(最終回)漢方薬の副作用による間質性肺炎の検査と治療1/1

漢方薬を飲むと、その副作用で肺炎になるかも!? 前回、こんな話をしました。実際、様々な情報が飛び交う昨今、そんな噂があり、それを信じて誤解しておられる方もいらっしゃると言います。けれど、これはあくまでも「かも」の話であると同時に、私たち一般人がイメージする「肺炎」とは異なるのです。

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肺炎にもいろいろありまして・・・

漢方薬の副作用の代表格として、「間質性肺炎(かんしつせいはいえん)」という疾患が上げられます。

ですが、前回も少し触れたように、肺炎と間質性肺炎は異なります。
それこそ、同じ肺の病気、それも炎症性の病気であるがために“肺炎”と付けられているだけだと認識するべきでしょう。

  • 何しろ「肺炎」というのは、肺に炎症が起きる病気、全ての総称みたいなものなのです。

頭痛でも、風邪からくるものもあれば、歯や目の不調からくるものもあり、精神的な要因が潜んでいるケースもあります。
そして、最も怖いのは脳の病気ですが、とにかく、同じような症状が出ていても、その起因が違えば、疾患の内容も、重篤度も大きく異ってきます。

因みに肺炎の場合、感染性肺炎と薬物性肺炎の大きく2種類に分類出来ます。

そして、細菌やウイルスによるものが感染性で、薬の副作用によるものが薬剤性です。
従って、漢方薬の副作用がもたらすとすれば、後者の方になる訳です。ですが、一般的に発症するのは前者の方で、これは薬を飲もうが飲むまいが関係ありません。

  • そもそも私たち人間が、細菌やウイルス、あるいはカビなどを吸い込まずに生活するということは、不可能であると言っても過言ではないでしょう。

ただ、健康な人体においては、それらを喉で排除出来る仕組みになっているだけなのです。
ところが、体力が衰えていたり、体調不良に陥った時などは、そのシステムがうまく稼動せず、肺の中の空気を取り込む「肺胞(はいほう)」と呼ばれる部位まで進入させてしまう場合もあります。

そうすると、肺炎を引き起こします。風邪やインフルエンザから肺炎を併発するのは、その典型的例です。

間質性肺炎は薬物性肺炎

けれど、感染性の肺炎は一過性のものですから、安静にさえしていればやがては小康状態になり、最終的には完治します。

それに対し薬剤性肺炎は、細胞組織に薬物が進入し、炎症を引き起こすもので、肺胞を取り囲む「間質(かんしつ)」と呼ばれる部位を攻撃し、組織を破壊すると「間質性肺炎」を引き起こすのです。

無論、漢方薬の副作用として十分考慮しなければならないものではありますが、実は、西洋薬であっても、大半の薬には、その発症リスクが多かれ少なかれあると見られます。
さらに、アスベストでも間質性肺炎を引き起こす事が明らかになっていて、大きな社会問題になっている事はよく知られた話です。

間質性肺炎の診断方法は?

医療機関を受診し間質性肺炎が疑われる場合にはまず、喫煙歴の他、服薬歴や粉じん歴が問診で確認されます。

そして、その環境要因が危惧され、症状が出ていると思われると、なんと、聴診器を当て、肺の音を確認するのです。

というのも、実際に間質性肺炎を発症していれば“パチパチ”、あるいは“パリパリ”という音が胸部から聞こえるからです。
この音は、張り付いたマジックテープを剥がす時の音に似ていて、「捻髪音(ねんぱつおん)」などと呼ばれています。

そして、肺がパチパチいっていることを確認すると、今度はX線で胸部画像を見ます。

すると、磨りガラスのように、ぼんやりと肺が映し出されます。部分的にぼやけて見えることもありますが、全体的にはっきりしない時もあります。いずれにせよ、明らかに間質性肺炎が進行状態に突入していることが示されています。

そこで、そのレベルを確認すべく、CTが取られると同時に血液検査が行われ、さらに、肺活量と1秒間にどのくらいの呼気を排出できるかが調べられます。この肺機能検査で出たデータを総合し、現段階でのレベルが確定されるわきです。

間質性肺炎の治療法は?

それでは最後に、間質性肺炎の治療法です。

とは言っても、実は、早期発見であれば、以前の肝機能と同じく、原因となっている薬物服用を停止するだけで進行は抑えられます。

一度炎症を起こし、繊維化してしまった部位を元通りにすることは困難でも、日常生活に大きな支障が出るケースはあまりありません。
喫煙をやめ、埃やカビ、動物の毛などにさえ注意を払っていれば、十分寿命を全うすることは可能でしょう。

進行を遅らせる薬も開発されてはいますが、非常に効果で、国の援助を受けなければ経済的に苦しくなります。
ところが、この国の援助を受けるためには、難病指定を受けるのが絶対条件で、難病指定を受けるには、原因不明の突発性間質性肺炎でなければならないとされているのです。

  • 即ち、原因が明らかな漢方薬による薬物性間質性肺炎では認められません。

こうした事を考えると、やはり早期発見による早期治療が重要であるのは言うまでもないでしょう。けれどそれ以前に、いくら漢方薬だからと言って、安心して容易に手を出さないことが大切なのではないでしょうか?

written by M.YAMAMOTO