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重いうつ病にも認知行動療法は有効。マインドフルネス瞑想と組み合わせることで効果が上がる1/1

うつ病に対する認知行動療法(※1)の効果は軽度のうつ病をもっている人のみ、という印象がこれまでありましたが、その概念をひっくり返す研究が京都大学 大学院 医学研究科らのグループから発表されています。

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認知行動療法

① ある出来事に対する身体の反応
② どのように考えるかという認知
③ 出来事に対して持つ感情
④ 実際に起こる行動、


という反応の 4 つの側面の中で、本人が意識してある程度コントロールできる認知と行動に働きかける治療法。

研究概要

重いうつ病をもっている人を対象にして、認知行動療法と、プラセボ薬との治療効果比較データのある5つの研究結果を元に、認知行動療法がどの程度の効果をもつのか?解析をおこなった。

対象とした試験結果は1989~2006年間におこなわれたもの,
被験者の平均年齢は40歳前後

  • 結果、認知行動療法は重度のうつ病の場合でも、軽度のうつと同程度に効果があることが分かりました。

認知行動療法が軽度のうつに効果的であることは既に知られていましたが、症状が重い場合にはどの程度効果があるのか不明でした。

ゆえに、診療ガイドライン上では多くの場合、重いうつの場合にはまず薬剤による治療が試みられており、認知行動療法は治療の選択肢には入っていませんでした。
加えて、薬物療法と認知行動療法との効果の差も、これまで考えられていたほど大きくはないことが分かりました。

今後は治療を受ける本人の意向によって、うつ病の重さに関わらず、認知行動療法も治療の選択肢になる可能性があります。

Initial severity of depression and efficacy of cognitive–behavioural therapy: individual-participant data meta-analysis of pill-placebo-controlled trials | The British Journal of Psychiatry

認知行動療法、深刻なうつにも効果
―重いうつにも投薬以外の治療選択肢を示唆―

調査京都大学大学院医学研究科の古川 壽亮 教授、田中 司朗 准教授、アムステルダム大学の Erica S.Weitz 博士課程学生など

掲載1 月 19 日、英国王立精神医学会発行の学術誌 The British journal of Psychiatry に掲載

認知行動療法を主とする、うつ病治療のキーポイント

認知行動療法を知る前に覚えておくべきキーポイントは2つ。

① 自己の内的事象に注目しすぎる状態から生み出される病理的過程「認知注意症候群(CAS)」

② 生活上で負を強化してしまう状態に対して、正の強化を増やすことでやる気を促す「行動活性化療法(BA)」

です。

  • ①「認知注意症候群(CAS)」は、3つのメカニズムで構成されています。

1.脅威刺激への注意 → 2.心配したり、繰り返し考えたりする反復思考 → 3.回避や抑制などの役に立たない対処行動


CASは、自己の中にある恐怖に囚われてしまう状態のことです。
不安障害やうつ病を持続させる中核的な病気と言えます。

これに対抗するためには、自分の注意する意識をコントロールする力を身につけることが重要です。

これには聴覚による刺激法がよく用いられます。

1.一つの音に6分間集中する → 2.複数の音を交互に6分間集中する → 3.複数の音を同時に8分間集中する、という過程を用いて、音に対するそれぞれの感じ方を習得していきます。

②「行動活性化療法(BA)」は性格内における正の強化です。

マイナス思考をプラス思考に転換していく形をイメージいただくと、お分かりいただけるかと思います。

正を強化することで、負のイメージに由来する回避行動を減らすようにしていきます。

薬物療法がカラダの内側からのアプローチであるのに対して、BAはカラダの外側から内側へ働きかけて、毎日の生活の中でとっている行動自体を変えることが目的です。

やる気が出ない方の気持ちが変わるのを待っている間は状況は好転しない、という考え方が根底にあります。

この認知行動に注目し、マインドフルネスを重視した結果、認知行動療法の効果は上昇しました。

マインドフルネスで自分の中で作り出し、住み着いてしまっている思考の世界から脱し、現実との接点を回復させることによって、反復思考が作り出している2次元的な苦しみを減らすことができます。

行動活性化で、役に立たない回避行動を止め、多様な世界と関わることでリアルな喜びを増やしていきます。

これを、「マインドフルネス認知行動療法」と呼びます。

 

マインドフルネス認知療法の特徴

今を主体にした身体の動作や、感覚に持続的な注意を向ける(持続)


避けられない突如現れる思考や感情などの私的な出来事については、気づいた時点で身体感覚に注意を戻すようにする(転換)


注意の範囲を広げる(分割)


感覚・思考・感情などのすべての私的な出来事に気づきが入ることで、それ以上強くならず、消えていくことを繰り返し確認する(法則性)

マインドフルネス認知療法はもともと、シーガル氏、ウィリアムズ氏、ティーズデール氏の3名により、うつ病の再発を減らすために生み出されたものです。

  • ボディスキャン(仰向け状態でリラックス状態を作り、体の隅々にまで意識を集中する)
  • ヨーガ(ゆっくりとした動きに意識を集中する)
  • 静座瞑想(自分の呼吸に意識を集中する)

マインドフルネス瞑想は、この3つを主体としたプログラムを8週間行うグループ療法です。認知行動療法と組み合わせることで、さらなる増強効果が見込めます。

うつ病の認知療法についてもっと詳しく知りたい方はリンク先を参照ください。

うつ病の認知療法・認知行動療法