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ヨーロッパ難民危機―危険なルートを移動するも、バルカン諸国の国境で、違法に押し戻される難民・移民の子どもたち1/1

【2017年1月24日ベオグラード発】 子ども支援専門の国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレンによると、 昨年3月のEU-トルコ合意により、 バルカン諸国を通過する難民は、 非常に危険なルートの選択を余儀なくされており、 気温が氷点下になる中で山や森を移動する子どもたちは、 野犬からの襲撃や、 警察と違法な渡航支援業者双方からの暴力行為にさらされています。

氷点下10度の気温の中、 家族と移動してきた少女。
ベオグラードの支援拠点に着いた時、 少女の両手は凍傷になっていた。

過去2ヶ月間で、 ハンガリーとクロアチアに入国した難民・移民が、 しばしば暴力的に、 セルビア側に不法に押し戻されるケースが1,600件発生していますが、
これは、 国際社会の保護を求めている個人に対する、 人権法や難民法に違反した行為です。

セーブ・ザ・チルドレンは、 現在セルビアには日におよそ100人の難民・移民が新たに流入していると見ています。

セルビアに入国する難民・移民の約46%が子どもで、 そのうちの20%が、 大人の付き添いがなく子どもだけで移動しており、 中には8、 9歳の幼い子どもも含まれています。

セーブ・ザ・チルドレンは、 セルビア政府に協力しながら、 そうした難民・移民が安全に過ごせる場所の整備や、 大人の付き添いがいない子どもの保護を実施すると同時に、 他の支援団体と協力しながら、 セルビアの首都ベオグラードで、 新たに流入する難民・移民が24時間利用できる支援拠点を運営しています。

支援拠点にやってきた、 12歳のアフガニスタンからの子どもは、 「ここに辿り着くまでに多くの困難に遭遇したけれど、 森を移動する時が特に大変でした。 ブルガリアの警察は、 『どうしてヨーロッパに来たんだ』と言いながら暴力を振るい、 お金を取り上げました。 警察だけじゃなく、 マフィアにも絡まれました」と、 セーブ・ザ・チルドレンのスタッフに話しました。

また、 過激派組織「IS(イスラミックステート/イスラム国)」の攻撃により家が破壊され、 子どもが学校に通えなくなったあるイラク人の家族は、 8歳の娘を連れて、 雪の降る中夜通しでブルガリアとの国境の山を越え、 早朝に支援拠点にやってきました。 支援拠点に着いた時、 母親は救急医療を必要としていました。

セーブ・ザ・チルドレンのセルビア事務所でアドボカシー・マネージャーを務めるイェレナ・ベセディッチは、 「ヨーロッパにおける難民危機は、 小康状態になったのではなく、 特に子どもたちにとって、 より危険なものになっているのが現実です。

EU-トルコ合意は、 違法な渡航支援業者が危険な手法で各国当局の網の目をくぐり抜け、 膨大な利益をもたらす機会を与えたようなものです。
私たちが必要最低限の緊急人道支援を届けることすらも困難になっているのです」と訴えます。

Refugee children in Belgrade are struggling to survive in freezing conditions Ifram* is 9, other two are 10 and 11 Ifram* is travelling with his uncle, who is 16. Other two boys report they are alone. Ifram* left Afghanistan 5-6 months ago, traveled through Bulgaria with his uncle and smugglers.  He refuses to go to the refugee centre because his father told him not to. He said that military groups threatened his father that they will kill the whole family, that’s why his father sent Ifram* to Europe, to stay there and then to save everybody else. Therefore, Ifram* is trying hard to cross to Hungary. Ifram* met other two boys in Belgrade. They are staying in the abandoned buildings and warehouses for two months now. They share the tent on the photo.  "We are sleeping together in the tent because it’s warmer and there’s less smoke inside the tent“, they said. Boys are spending time in our Youth Corner in Refugee Aid Miksaliste and another refugee aid hub, Info Park, during the day. They stand in the line each day, together with other 1,200 boys and men sleeping rough, to get one warm meal provided by volunteers. Every 10th child that save the Children meets and supports in Serbia is a child traveling alone. We are estimating that there are around 800 lone children in Serbia, out of which several hundreds are sleeping rough in Belgrade.

  • オグラードの廃墟で、 一つのテントで寝起きしている3人の子どもたち。 すでに2ヶ月間をここで過ごしている。

現在、 毎日100人の新たな難民・移民が流入する中、 ベオグラード中心部では、 1,000人以上が劣悪な環境での寝起きを余儀なくされています。
しかし、 そうした人々の中には、 公的な受け入れ施設に移れることになっても、 難民法を無視した強制送還や、 長期間施設に留められたりすることを恐れ、 移転をためらう人もいます。

セーブ・ザ・チルドレンのスタッフは、 受け入れ施設に移動するためのバスに乗ることをとても恐れていた、 大人の付き添いがいない8歳の子どもと出会いましたが、 これは、 ベオグラードで暗躍する違法な渡航支援業者が、 自分たちの利益のために、 受け入れ施設に関する悪い噂を流しているためです。

今週、 セルビア政府は、 雪の中、 路上で過ごす難民・移民のための仮設シェルターを設置しましたが、 まだまだ需要には追いつきません。

支援団体や地元の医療サービス施設は、 凍傷の人や、 廃棄物などを燃やして暖をとり呼吸器系の疾患にかかった人の治療に追われています。
しかし、 セルビア政府は、 廃墟となっている建物に難民・移民が居ついてしまうという理由から、 公的な受け入れ施設外での食料や、 防寒着、 靴などの配布に難色を示しています。

セーブ・ザ・チルドレンは、 EUに対して緊急シェルターを設置するための拠出の増額、 また、 セルビア政府に対して公的な受け入れ施設に入る手続きを待つ難民・移民への緊急人道支援の協力を求めています。

長期的には、 安全で合法な移動ルートの確保、 離散家族の再会や再定住支援、 人道ビザの発行、 民間スポンサー制度の利用など、 違法な渡航支援業者を殲滅するための様々な手立てを講じる必要があります。

セーブ・ザ・チルドレンは今後も、 最も脆弱な立場に置かれた、 大人の付き添いがいない子どもの保護を最優先に、 難民・移民の子どもたちやその家族への支援を届けていきます。