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日本人家族性 筋萎縮性 側索硬化症(ALS)の遺伝的背景の解明に一歩近づく1/1

家族発症歴のある日本人の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子を次世代シークエンサー[※1]によって幅広く解析した結果、ALS 発症に関わる複数の遺伝子変異が明らかにされました。 ※1. 次世代シークエンサー: 数千万~数億の DNA 断片の塩基配列を同時並列的に決定することで、短期間でギガ(10 億)単位での塩基配列を決定出来るシークエンサー。

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国の指定難病である ALS のうち、家族性 ALS の原因遺伝子は 1993 年に SOD1 遺伝子が同定されて以降、
これまでに 25 種類以上の遺伝子が報告されてきましたが、その頻度や病態は不明のままです。

東北大学神経内科では 1991 年以来 111 家系の日本人家族性 ALS を集め、その原因遺伝子を探索してきました。

今回、まだ原因が不明であった 45 家系(患者 51 名)を対象に、
ALS および運動ニューロン疾患(※2)の発症に関連する計 35 遺伝子を標的とした解析をおこないました。

(※2) 運動ニューロン疾患

運動ニューロン(下記)が障害される神経変性疾患。
ALSを代表とする、球脊髄性筋萎縮症、おもに小児期に発症する脊髄性筋萎縮症といった複数の疾患の総称。

結果、

すでに発症に寄与すると考えられている 6 つの遺伝子変異と、これまでに同定されていない新しい遺伝子変異を発見しました。


111 という大規模な家系で ALS および、運動ニューロン疾患の原因遺伝子を網羅的に解析し、その遺伝的背景を明らかにした報告はなく、家族性 ALSの原因となる遺伝子変異の頻度が人種によって異なることを明らかにしました。

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【図】東北大学神経内科で集積した家族性 ALS 111 家系の原因遺伝子頻度
[注] SOD1, FUS, SETX, TARDBP, ANG, OPTN, ALS2 はそれぞれ変異が見出された家族性 ALS 原因遺伝子(本文参照)。
“VUS”(variants of unknown significance)は、病的意義がまだ確定できないものの、発症に関与する可能性がある変異。


今後のALS 病態解明の進展、それに基づく治療法の開発が期待されます。

日本人家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の遺伝的背景を解明 – 原因遺伝子の同定が進み、ALS 病態解明に期待 –