ニュース

希少難病「超記憶症候群」の記憶メカニズムを探る ②1/1

前回、起こった出来事を全て記憶してしまう超記憶症候群の例をご紹介しました。第二回目となる今回は、超記憶症候群の記憶メカニズムについて解明していきます。

wwii-938576_640

Q.それぞれの記憶の特徴を説明せよ

  • 潜在記憶
  • 顕在記憶

※ 正解は後半で!

前回、希少難病「超記憶症候群」のことを掲載しました。


プレイバック

  • 限定された完全記憶能力であるサヴァン症候群とは違い、
    超記憶症候群は一定の期間起きた全てを記憶している

第二回目となる今回は、超記憶症候群の記憶について掲載していきます。

超記憶症候群、通常記憶との違い

一定期間起きた日常の出来事を、ビデオ映像のように完全に記憶している…

そう聞くと超記憶症候群(HS)は、脳に膨大な記憶領域をもっている病気なのかも知れないと思うかも知れませんが、実際のところそうではないという考え方があります。

そのヒントは、超記憶症候群の方が言う「私の頭はVHSのライブラリーのようなもの」という発言にありました。

要するに彼女たちは、映像として日常を記憶しているわけです。
ということは、右脳記憶だということになります。

  • 左脳記憶言語記憶のこと(覚えにくく、忘れやすい)
  • 右脳記憶イメージ(映像)記憶のこと(覚えやすく、忘れにくい)

ほとんどの方は覚えにくく、忘れやすい左脳記憶を普段使用していますが、
いわいる天才と呼ばれる人たちは 覚えやすく、忘れにくい右脳記憶だったということが明らかにされています。

幼い頃から天才的な少女歌手と呼ばれていた美空ひばりさんもそうですし、
一度聞いただけで歌詞も曲も完全に覚えることができた、というモーツァルトもそうですね。

サヴァン症候群の方も右脳記憶

ダロルド・A・トレッファート著『なぜ彼らは天才的能力を示すのか』には、写真記憶を持った多くのサヴァン症候群の脳障害をもった子どもの例が出てきています。

脳には足りない部分を他の部分が補おうとする特性があります。
脳に障害を持つ子どもは言語記憶を司る左脳の働きが劣っているため、右脳の能力が発達しやすいのです。

そしてこれに加えて、顕在記憶であるという条件も必要です。

右脳で記憶し、かつ、顕在記憶であることが完全記憶能力のための最低条件であると言えるでしょう。

このように記憶のメカニズムさえ分かれば、程度の差はあるでしょうが、トレーニングすれば 誰でも完全記憶能力の取得が可能かも知れません。

超常記憶症候群の理論的含意

Q.それぞれの記憶の特徴を説明せよ〜解答編〜

  • 潜在記憶…意識して思い出そうとしなくても、思い出しているタイプの記憶
  • 顕在記憶…意識して思い出そうとして、思い出しているタイプの記憶

「朝、何を食べましたか?」など、人が過去の出来事に対する質問をされて、自分で思い出そうと意識して掘り起こされるタイプの記憶を顕在記憶と言います。

 

時間や場所の認識などの記憶を指す「意味記憶」や、過去に訪れた場所の環境に関する記憶である「エピソード記憶」は、どちらも顕在記憶としてカテゴライズされています。

人間の記憶システムに関してはまだ未解明の部分も多く、哲学者、科学者なども数世紀にわたり研究してきています。

また米テレビの報道番組は、超記憶症候群と思われる人に対して密着レポートを行いました。

結果、彼らは円滑に他人とコミュニケーションがとれない傾向にある、ということが判明したそうです。
ただし、それは障害というわけではなく、他人と関わった瞬間の全てを覚えているからだ、とのこと。

目に映ったもの全てが勝手に記憶として定着してしまうとやはり、ストレスは避けられないでしょう。
ある種の拷問に近いと思われます。我々は忘れることができるから未来を見つめて歩んでいけるのですから。

そして2006年にこの症状が定義された時、おもしろい発見がありました。

超記憶症候群と診断された男性の全てが左ききだったのです。
超記憶症候群についての研究はまだこれかだ先と言えるでしょう。非常に楽しみです。

written by Akiko

A case of hyperthymesia: Rethinking the role of the amygdala in autobiographical memory