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夏休み特別企画『人』はこうして作られる(第8回)真の精子たちの旅立ちの場と旅立ちの時1/1

精子の旅はとかく、射精され、お母さんの体内に突入するところから始まるように思われがちですが、前回ご説明した通り、実は、『小葉(しょうよう)』という精巣の小部屋で作られ、直細管に送り込まれるところから彼らの旅は始まると言っても過言ではないでしょう。

そして、『精巣上体』という学校に入れられ、そこで訓練を受けた後、『陰嚢(いんのう)』から『陰茎(いんけい)』へと進んで行くのです。
しかも、『射精管(しゃせいかん)』と呼ばれる発射台から、いきなりお母さんの体の中に入り込む訳でもありません。

彼らは、『前立腺(ぜんりつせん)』と呼ばれるトンネルを通る『尿道(にょうどう)』という通路から旅立って行きます。

『前立腺』は中継トンネル!

陰嚢と陰茎からなる男性生殖器は、真上にある膀胱も巻き込み、まるで鉄道のように、巧みに連絡しています。

勿論、尿道は尿の排泄路ですから、膀胱が始発駅となる訳ですが、『前立腺』というトンネルの中で射精管と連絡し、そこで精子を乗せるのです。

この前立腺は、男性生殖器の中の中継トンネル! 天辺は平で下がとがってはいますが、逆三角形のようにスマートではなく、ちょうど栗の実を逆さにしたような形状で膀胱の真下に設置されています。

そして、その中央を膀胱から出て来たばかりの尿道が通り、先端のとがった部位から抜けるという構造です。

因みに、この前立腺の中を通る尿道部分は長さが4センチほどで、『尿道前立腺部(にょうどうぜんりつせんぶ)』と呼び、そのほぼ中間地点にある『精丘(せいきゅう)』という駅で精子ご一行はご乗車となります。

『精管』を通る精子たち

ではでは、その精子は、どこから精丘にやって来るのかと言うと、前回出て来た精子の貯蔵庫『精巣上体』からという事になります。

即ち、精子たちは、学校を卒業すると随時旅立って行く訳で、この精巣上体こそが出発地点なのです。

そして、彼らが最初に通るのが『精管(せいかん)』と呼ばれる路線! 

この精管は、『精巣上体管(せいそうじょうたいかん)』の出口と繋がっていて、一旦陰嚢から腹腔内に出た後、膀胱の上側をぐるりと回り、前立腺の後ろ側にある『精管膨大部(せいかんぼうだいぶ)』という駅に到着します。

ここが次に乗る路線『射精管』の乗り換え液です。

実はこの精管、直径が3ミリほどの元々細い管なのですが、分厚い筋肉壁で作られているため、内部はさらに狭く、その壁面が蠕動運動を起こすと、精子たちは、否が応にもどんどん前身せざるを得ません。

しかし、この時点ではまだ、殆ど自力で動こうとしない臆病な新米兵士たちには、この手を使って一気に精管膨大部まで送り込むに限ると言ったところなのです。

精子たちのエネルギー源は『精嚢』で作られる『精嚢液』

精子は通常1分間に1ミリから元気な子なら3ミリていど、自力で前進出来る力を持っています。

やはり男の子の方が速く動けるようですが、女の子の方が冷静で長生き出来るのだとか・・・!? 

にも関わらず、精管内の精子たちが自力で泳ごうとしないのは、もしかしたら、おなかが空いているからなのかも知れません。

というのも、精子たちのエネルギー源である『精嚢液(せいのうえき)』を製造する『精嚢(せいのう)』という工場は、精巣上体のある陰嚢内ではなく、膀胱の背面にあるからです。

この精嚢は、その名の通り、長さ4センチから5センチ程の細長い紡錘形をした袋!内部は精巣と同じように小部屋に仕切られ、ひだが発達しています。

そして、ここで作られた精嚢液は、射精管の入り口でようやく、精管膨大部から出て来た精子たちに与えられるのです。
つまり、精子たちは、精管から射精管という管に乗り換えて、初めて精嚢液を装備出来る訳です。

腹がへっては戦は出来ぬが、満腹でも危ない!!

実際問題、腹がへっては戦は出来ぬと言われる通り、食料を持たずして適地に乗り込むのは自殺行為です。

かと言って、最初から好き放題にエネルギーを与えていれば、太りすぎや眠気に見舞われる精子が続出し、これもまた非常に危険でしょう。

そこで、精巣上体から送り出された精子たちは一旦、精管膨大部で待機させられ、いざ出陣!という直前に、精嚢から分泌された精嚢液と一緒に射精管に入るという仕組みになっているのです。

そして、その射精管は即、前立腺の背面部にある専用の入り口からトンネル内に入り、斜め下前方にある精丘駅を目指して走ります。
そうして、精丘の両脇に作られた『射精管口』から精子と精嚢液を尿道に送り込むのです。

しかも、全ての精子に平等に確実にエネルギー補給出来るようにと、精管膨大部の出口も、精嚢の出口も極めて細くなっているというのですから、やっぱり人間の体はスゴいと感心させられずにはいられませんね。

written by M.YAMAMOTO