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夏休み特別企画『人』はこうして作られる(第10回)我慢汁はお父さんの愛1/1

前回、『陰茎』の『勃起』は血液の仕業であるということを掲載しました。 ならば、『射精』は、精子たちの仕業なのかと言うと、残念ながら、それもハズレ! 少なくとも、彼らが自分たちで努力して体外に飛び出すことはありません。

『勃起』を司るのは副交感神経、『射精』を司るのは交感神経

勃起も射精も「反射」の一種であると言えますが、そのメカニズムは大きく異なり、勃起=精子放出に直接繋がるものではありません。

実際、性交渉をしても、射精をしないまま終わった経験をお持ちの男性は少なくないことでしょう。

しかも、勃起はリラックスを促す『副交感神経』が作用して起るものですが、射精は興奮を促す『交感神経』が作用して起こるものです。
故に、疲労感や倦怠感が強ければ、勃起は容易ですが、射精にまで及ぶのは、思いのほか困難だったりもします。

疲れている時や体調不良の時に、やたらめったら性交渉したくなる傾向が男性にはあるようですが、それは恐らく、休息を求める副交感神経が働き掛けているためです。しかしその反面、副交感神経は高ぶらないため、なかなか射精が出来ないという落とし穴があります。

射精には準備が必要

射精には、それなりの手順が必要になります。

特に男性の場合、普段は尿が通っている場所を命の素である精子が通る訳ですから、この構造自体に、様々な問題があると言えるでしょう。

まず何より、老廃物である尿が混じっては大変です。それに、蓄積された管内の雑菌も心配ですね。
そこで、尿をシャットアウトし、尿道内を洗浄するところから準備は始まるのです。

まずは尿道の確保から

尿道の確保は、『内尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)』と『外尿道括約筋(がいにょうどうかつやくきん)』の2つの括約筋がおこないます。

この2つの筋肉は、前立腺を挟むような形で配置されていて、内尿道括約筋は、尿を堰き止めるのが普段のお仕事です。これが弱ると尿漏れを引き起こします。

そのため、通常は膀胱が許容量に達して初めて開門される事になる訳です。

が、時と場合によっては、膀胱が満タンになっていなくても排泄しておきたい事もある訳で、その際、作動するのが外尿道括約筋です。

この筋肉は、かなりの確率で自由自在にコントロールする事が出来、必要に応じて緩んで排尿を促したり、尿意を抑えたりしてくれる強い味方であると言えるでしょう。

内尿道括約筋は、いざ、精子を送り込む時が迫っている事を察知すると、さらに気合いを入れて身を引き締め、尿道に出た精子が膀胱に入らないようにします。

すると、元々お父さんの意思に従う姿勢を取っている外尿道括約筋もびしっと締まり、1滴の尿も漏れては来ません。
一方、精子が膀胱の方に進む事も出来ず、尿道は正に貸し切り状態で精子ご一行様に使って頂ける状態になります。

お次は尿道と膣の洗浄

恐らく、この段階で陰茎には多量の血液が流れ込み、勃起していることでしょう。

膨張した海綿体に刺激された『尿道球腺(にょうどうきゅうせん)』は、何やら透明な液体を分泌し始めます。

この液は弱アルカリ性で、尿道から尿道口を通って体外へ放出され、ペニスが膣内に挿入されていれば、そのままお母さんの体内に流れ込む訳ですから、ほぼ精子が通るルートを洗浄し、酸性に弱い彼らのためのアルカリ性環境を作ります。

これが所謂「我慢汁」と呼ばれるものです。

正式には、『尿道球腺駅(にょうどうきゅうせんえき』、あるいは『カウパー腺液』と言います。
ですから、「我慢汁でも妊娠することがある」とよく言われますが、現実には、その確率は殆どないと見ていいでしょう。

ただし、時と場合によっては、恐ろしいほど早く勃起から射精までの一連の動作が進行するケースも想定できます。すると、精子が我慢汁に混じらないとは限りません。

すくなくとも、「我慢汁が出ている」ということは、お父さんはパパになる気満々であるということです。
そう、正しく我慢汁はお父さんの愛の証で、パパはいつだって、私たちの誕生を待ち望んでママと仲良くしていたのです。「お父さんなんて大嫌い!」なんて言ったら、悲しむのは当たり前ですね。

written by M.YAMAMOTO