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耳鳴り予防,日常的にできることとは?1/1

音を認識するのは脳の役割です。「耳(外耳)」は音を拾う場所に過ぎません。脳は、「大きな音だ」「微かな音だ」などの音域を感じ取ります。本記事では、日常生活の中でできる耳鳴りの予防とあわせて、その辺りを解説していきます。

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『音が認識されるまでの過程』

耳から入った音が、内耳の一部である「蝸牛(かぎゅう)」で電気信号に変わる

脳から直接出ている末梢神経のひとつ「聴神経(ちょうしんけい)」を通り、大脳皮質下に入る

皮質下で音が選別され、大脳皮質へ伝えられて初めて「」として認識される

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出典:音の「聞こえ」の仕組みを理解しよう

「蝸牛」における障害が実のところ多い

音を最初に電気信号に変える役割を持つ「蝸牛」は、カタツムリの巻貝に似た形状をしている組織です。中学・高校の生物学で「うずまき管」として学習した記憶のある方も多いでしょう。

この蝸牛での障害により、音を運ぶ回路にトラブルが起き、音を電気信号に変える機能が壊れ、「本来大脳皮質に届かねばならない音が、制限を受ける」というの状態が、いわゆる難聴と呼ばれる症状です。

こうした音の調節機能の変化は、「耳鳴り」の発生原因となる場合も多いと言われています。

耳鳴りそのものは、非常に静かな環境に置かれている場合なら、誰でも起きる症状です。
その音があまりに微細なものですから、生活ノイズにかき消された結果、耳鳴りが起きないというケースもありますが、蝸牛障害があると、こうした調節機能が働かなくなるため、耳鳴りが聴こえてしまうというわけです。

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出典:耳介から蝸牛までの概略図

上図から推察されるように、蝸牛は非常に精密・複雑な構造をしています。

そのため、一度壊れると元に戻すことは非常に難しいと言われており、蝸牛の障害を原因とする耳鳴りに関しても、「根治する」ことは難しいのですが、症状を改善していくことは可能です。

耳鳴りの「神経生理学的モデル」

神経生理学的モデルは、アメリカの神経生理学者であるパウエル・ジャストレボフ(Pawel Jastreboff)によって、1990年代に提唱されました。

これは「音を感じる脳」と「苦痛を感じる脳」が結びつくことで、耳鳴りを苦痛と感じる回路が出来上がるというモデルとなっているのが特徴です。
耳鳴りを「耳の問題」としてではなく、それを「知覚する脳の問題」として取り扱った 初めてのモデルとなっています。

現在では、「耳鳴り順応治療TRT,Tinnitus Retraining Therapy)」として、有効治療率80%の実績を誇る治療法に応用されています。

重要な機能「大脳皮質下」

「大脳皮質下」は、電気信号としてきた音を、大脳皮質まで送るか・送らないかの選択をするという、極めて重要な機能を担っています。
なので、生きていくうえで必要と判断された音サイレン・友人が自分を呼ぶ声など)は、必ず大脳皮質まで到達します。

そうでない音(冷蔵庫やPCが発する音など)は、届きません。

大脳皮質と皮質下の右側には、それぞれ上に「大脳辺縁系」、下に「自律神経系」があります。

これらは「苦痛を感じる脳」と呼ばれています。

大脳辺縁系は、不安、苛々、怒りなど「原始的な感情」を司っており、自律神経系は、内臓や血圧、汗の調節機能など、自らの意志では「コントロール不可能な 身体的動き」を司っています。

今までしていなかった耳鳴りを知覚した場合は、皮質下は耳鳴り音を「重要な音」として大脳皮質に伝達しますが、長く続いても不快感がなければそれに慣れてくるため、そのうち大脳皮質には伝達されなくなります。

ただ、非常に不快感がある場合では、苦痛を感じる脳が働き、耳鳴りに対して苦痛を感じるようになっていきます。

それにストレスなどが加わることにより、苦痛を感じる脳の働きが常態的に活性化された結果、「悪循環」となるのです。

耳鳴りの治療法

λ 「耳鳴り順応治療」

耳鳴りの消失ではなく、耳鳴りを知覚しないための訓練法です。


雑音を発生させる耳鳴り治療器(Tinnitus Control Instrument.TCI。サウンドジェネレーターや、補聴器などがこれにあたる)を 1日につき 6~8時間装着し、徐々に音に耳鳴りの音に慣れさせていきます。

耳鳴りレベルを「10 感じている人」に対して、「8-9レベル」の音を聴かせることにより、相対的に、耳鳴りの音自体を1-2レベルに感じさせる方法です。

サウンドジェネレーターは、環境を選ばず、ボリューム調整も可能で、副作用や合併症もありません。ただし、すぐに効果が表れるものではなく、6ヵ月~1年程度の時間を要します。

λ 静かな場所を避ける

静かな場所では耳鳴り音が際立ちますので、適度にノイズのある場所で生活するのもひとつの対策方法です。

λ あらゆるノイズに囲まれた生活環境にする

様々な音を逆に積極的に聴くことで、耳鳴りを紛らわせることが可能です。

λ 薬物療法

苦痛を感じる脳の働きを弱くする治療法です。

SSRIや睡眠薬など。 耳鳴りの緩和にも、コミュニケーションが大事 楽しい会話中や、美味しい食事をしているときなら、耳鳴りがあっても気づかずに時間が過ぎていたということもあるはずです。


耳鳴りがあるということにショックを受けてしまうと、人とコミュニケーションを取るのも避けがちになるものですが、趣味や気晴らしなどで、とにかく「意識を耳鳴りから他に向ける」ということが大切です。

他人とコミュニケーションを取ることは「苦痛を感じる脳」の働きのコントロールにもつながります。

TRT 耳鳴り治療用音源 (水道水)


『参照』